防災教育の自校化に向けた学校体制づくり

魚沼市立湯之谷中学校の五十嵐一浩校長先生による、防災教育の自校化に向けた3年間の取組についての講話がきおくみらいにて開催されました。

五十嵐一浩先生は中越地震当時、震源にほど近い長岡市立太田中学校で被災され、その後の地域との復興学習に取り組まれました。

異動された三条市立第四中学校でも地域・小学校と連携した防災教育に取組まれ、豊富な経験をお持ちの先生です。

今回は、現在勤務されている魚沼市立湯之谷中学校における、ゼロから始めた防災教育の学校体制作りについて、3年間の時系列に沿いながら丁寧にお話しいただきました。

視覚障害者の被災体験を聞き歩行体験をする

新潟市立亀田東小学校で5年生を対象に総合的な学習の時間を活用し防災学習が行われました。

既に学校で行われていた「亀田の米作り」の単元と組み合わせ、まず水害について学び、

その後、東区社会福祉協議会と連携し、福祉学習と防災学習を組み合わせた学習を行いました。

 

復興記録誌を読み解く

11月7日(水)に長岡市立旭岡中学校1年生が班別学習できおくみらいに来館されました。
「震災復興」をテーマに学習をすすめており、事前にたくさんの質問をもらいました。

・復興作業で一番大変だったこと
・復興する時に、どんな風に目標を立てたのか
・震災を通じて長岡のことをどう思ったか
・その後、行い続けている追悼などはあるのか

きおくみらいでは、中越地震で被害を受けた地域がまとめた記録誌を多数所蔵しています。

震災から数年後に刊行されたもの、震災から10年の節目に刊行されたもの、いずれの資料もそこに暮らす方々の生の声や想いが詰まっており、この地域で営まれてきた震災前後の暮らしに触れることができます。

生徒の皆さんには、iPadを使って各地の様子を見てもらったほかに、この復興記録誌を読み解き、自分の考えた質問の答えを探してもらいました。1年生には難しい言葉や概念も一部あったとは思いますが、すぐに集中して資料を読み込む姿が印象的でした。

引率の先生は当時山古志中学校にお勤めで、その時のことを寄稿した記録誌もきおくみらいにありました。

これらの資料は広く出回ることは少なく、これだけの種類の記録誌を一か所で読めるのはきおくみらいの他にはありません。いわば目玉コレクションです。
貸出も行っておりますので、震災からの復興をテーマにした調べ学習などをお考えの場合はぜひご活用ください。

【開催案内】湯之谷の軌跡(奇跡!?)こうして学校は変わった

講演会開催のお知らせです。

※開催チラシはこちらからダウンロードをお願いします。

【講師】
魚沼市立湯之谷中学校 校長 五十嵐 一浩 先生

【講演】
「子どもが大人が夢中になる 防災教育の不思議な魅力」

【日時】
平成30年12月1日(土)14時~16時

【会場】
長岡震災アーカイブセンターきおくみらい(長岡市大手通2-6 2F)

【対象】
小学校・中学校・中等教育学校・特別支援学校の校長・教頭・教職員、市町村教育委員会職員、
地域教育コーディネーター、防災士、防災教育コーディネーター養成研修修了生 等
そのほか本テーマにご興味のある方ならどなたでもぜひご参加ください!

【参加費】
無料

【主催】
公益社団法人 中越防災安全推進機構

【申込方法】
電話・FAX・メールのいずれかにて、
①所属 ②職名 ③氏名 をお知らせの上、下記申込先へお申込みください。

【申込先】
公益社団法人 中越防災安全推進機構(担当:松井)
〒940-0062 新潟県長岡市大手通2-6 フェニックス大手イースト2F
電話:0258-39-5525 / FAX:0258-39-5526
E-mail:matsui@cosss.jp

生徒自身が避難訓練の改善を考える

10月14日(水)に新潟市立高志中等教育学校で地震を想定した避難訓練とその後の振り返りが行われました。
新潟市立高志中等教育学校は中高一貫校で、今年度、新潟市「防災教育」学校・地域連携事業の指定校となっています。

今回の避難訓練の流れは下記の通りでした。
朝学活・SHR時に避難訓練の事前連絡→学活・LHR時に地震発生→体育館へ避難→校長先生のお話→学級に戻って振り返り

振り返りでは、ワークシートを使い、個人で振り返りをしたあとグループで話合いをしました。
話し合いのテーマは「避難訓練の良い点・悪い点・改善方法・工夫などを考える」です。

安全・防災担当の先生との打合せで、「与えられた課題について自分の考えをまとめることが得意な生徒が多い」と伺っていた通り、
定期試験かのようにワークシートを記入、前傾姿勢で話合いをする姿が印象的でした。

生徒からは、

「学級からではなく特別教室からの避難をしてみてはどうか。」

「使えない場所や通路の指定をしてはどうか。」

「自分は足を骨折していたので机の下に隠れることができなかった。もし実際に地震が起きていたらどうしただろうか。」

「小学校の時みたいに予告なしの避難訓練をやって欲しい。予告されると皆気持ちが緩む気がする。」

「避難場所を一か所にする必要性はあるのか。グラウンドや体育館などそれぞれが一番近い安全な場所へ逃げた方が良いのでは。」

「大きな地震で建物が倒壊する危険性があるのに体育館に避難するのはなぜなのか」

などなど、鋭い指摘や提案など多様性に富んだ話合いがなされていました。

 

消防法に基づき、すべての学校で定期的に避難訓練は行われています。

この避難訓練の改善を、教職員だけでなく生徒も一緒に考えることで、より実態に即した訓練に近づく可能性があるのではないでしょうか。

何よりもまず、参加する教職員、生徒自身が訓練の意味を問い直すことに防災の第一歩があるのではと感じさせられる一日でした。