ふるさと新潟防災教育 ~実践の心得 十カ条~

 防災教育は、ただやればいいというものではありません。子ども達自身による命を守る行動につながってこその防災教育。そのためには実践する先生にその本質をきちんと理解していただく必要があります。

 群馬大学大学院理工学府 片田敏孝研究室の全面的な協力を得て、防災教育を実践される学校現場の先生方に、せひ一読していただきたい防災教育の心得(十ヵ条)をまとめました。ここに防災教育のすべてが詰まっています!

<防災教育の心得 十ヵ条>

  1. 災害から生き抜く力を育む
  2. 自然の恵みと災いの二面性をとらえる
  3. 姿勢の防災教育を通じて主体性を育む
  4. 一生使える「災害から生き抜く力」を身につける
  5. 20年かけて災害に強い地域文化をつくる
  6. 教職員自身の自然と向き合う姿勢が問われる
  7. 災害を自分事として主体的にとらえる授業を実践する
  8. 教育活動全体を通じて防災教育の目的を達成する
  9. 家庭や地域と連携した防災活動を取り入れる
  10. 学校の特性を踏まえてカリキュラムを自校化する

第1部 防災教育の基本理念

 防災教育を通じて学んだことは、在学中だけでなく小中学校卒業後も生涯活用されるものです。そのため、“学校にいる時の対応”だけでなく、“生き抜く力を育む”ことが求められます。また、小中学校における防災教育を継続することは、“災害に強い新潟県”を作ることにつながっていきます。

 ここでは、防災教育の目的や目指していることに対して現場の教職員の皆さんと共通理解を得ておきたいことを簡単に説明します。

1.災害から生き抜く力”を育む

1-1 ファーストプライオリティは、“災害で命を落とさない”

 災害対策(=防災)で最も大切なことは何でしょうか。それは“命を守る”ことです。どんなに災害に強いまちを作ったところで、そこに暮らす住民が犠牲になってしまっては何の意味もありません。災害によって“人が死なない”ための対策こそがまずは求められるはずです。

 しかし、人間は自らの死をイメージすることが苦手です。そのため、災害対策を考える際には、いつの間にか自分は生き残ることを前提にして、被災後の対応に目が行きがちです。炊き出し訓練や安否確認、避難所生活での助け合いやボランティアなどを考えることも、もちろん大切です。しかし、これらが役に立つのは、災害から生き残った後です。最も大切なことは、“災害から生き延びる”ことであり、そのための対策を第一に考えることが求められます。

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1-2 児童生徒自身が“災害から⽣き抜く⼒”を⾝につける

 防災教育においても、同様のことが言えます。まずは、児童生徒自身が“災害から生き抜く力”を身につけることが必要不可欠です。新潟県防災教育プログラムでは、災害時の様々な対応を学ぶことを通じて、児童生徒の災害や防災への興味・関心を高め、“自分の命は自分で守る”という主体的な姿勢を育み、児童生徒自身が災害から生き抜く力を身につけることを目指します。

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 2.自然の“恵み”と“災い”の二面性をとらえる

2-1 脅しの防災教育の限界と弊害

 これまでは、防災教育を行う際に、まず児童生徒に教えることとして、“地域の災害の危険性”を取り上げることが多かったのではないでしょうか。

 過去に発生した被災の様子などを教え、「過去にこんな恐ろしいことがあった、だから備えなければならない」というように、災害に対する恐怖を喚起し、備えを促すことを意図した教育内容です。このような指導方法を“脅しの防災教育”と呼びますが、この指導方法だけでは、その教育効果に限界があるとともに、弊害が生じることが危惧されます。

 人間は「怖い」と思う気持ちを持ち続けることに限界があります。そのため、脅しの防災教育だけでは持続性という観点からして、その教育効果に限界があると考えられます。

 また、脅しの防災教育は、災害の危険性という“地域のマイナスイメージ”を児童生徒に植え付けることになります。そのため、脅しの防災教育だけを繰り返した場合、「こんなに危険なところには住みたくない」というように、児童生徒が自らの出身地を嫌いになってしまうという弊害が生じる可能性があります。他の教科教育では、地域の素晴らしさを伝え、郷土愛を育むことを目指した指導がされていますが、それを阻害する要因にもなりかねません。

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2-2 災害に備えることは、その地に住まうお作法

 自然には“恵み”“災い”“二つの側面”があります。災い(=危険)しか存在しない地域であれば、集落が形成されることはありません。先人たちは、もっと他の便利な場所に移住していたはずです。ときに発生する災いに目をつぶってでも、そこに暮らす意味がある、すなわちそれを補って余りある日々日常の恵みがあるからこそ、現在まで集落はその地に成り立ってきたのです。

 このような自然の二面性を踏まえるならば、災害に備えることは、自然の恵みを享受した生活を送るために必要不可欠なことであり、“その地に住まうお作法”だと言えます。新潟県防災教育プログラムは、この“その地に住まうお作法”を身につけるための学習です。地域の危険性や避難のノウハウを学ぶだけでなく、自然には、“恵み”と“災い”の両面があることを理解し、地域を大切にする郷土愛を育むとともに、“災いをやり過ごす知恵”を、すなわち“災害から生き抜く力”を身につけることを目指しています。

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3.姿勢の防災教育を通じて、主体性を身につける

3-1 知識の防災教育の限界と弊害

 これまでに実践されてきた防災教育は“地域の災害の危険性”を教える他に、“災害に関する知識”を教える内容が多かったのではないでしょうか。

 災害の発生メカニズムや今後災害が発生する可能性、災害が発生した場合の被害の大きさなど、災害に関する知識を教え、「このような災害が発生する可能性がある、だから備えなければならない」というように、合理的な判断をするための材料として災害に対する知識を与え、備えの実行を促すことを意図した教育内容です。このような指導方法を“知識の防災教育”と呼びますが、この指導方法についても、“災害から生き抜く力”を育むことに限界があるとともに、弊害が生じることが危惧されます。

 この典型的な例はハザードマップです。ハザードマップは、その作成の前提を知ったうえで活用することによって、有効な防災教育ツールとなります。しかし、その作成の前提を知ろうとせずに、単に知識として浸水想定区域図を見ているだけでは、“災害イメージの固定化”を招き、それ以上のことが起こり得ることを想起できなくなります。つまり、知識の詰め込みは弊害をまねく恐れがあるのです。

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3-2 防災に対する主体性を育む姿勢の防災教育

 このような弊害を生じさせないようにするためには、「自分の命は自分で守る」という“防災に対する主体性”が必要です。地域(自然)のよいところ(恵み)を知り、地域の郷土に誇りを持ち、大切にする気持ちを育む。その一方で、ときに発生する自然の営みの一つである災害(災い)をやり過ごす知恵を身につける。地域が好きで愛着があるからこそ、そこに住み続けたいと思い、その思いがあるからこそ、いざというときにも主体的に自らの命を守り抜きたいという思いが生まれるのです。このようにして、“その地に住まうお作法”“防災に対する主体性”を学ぶことを、“姿勢の防災教育”と呼びます。

 地域の“恵み”について知る教育としては、これまでの小中学校の教育課程の中でも郷土愛を育む教育がなされてきたと思います。そして、“災い”について知る教育としては、これまで行ってきた“脅しの防災教育”、“知識の防災教育”が該当します。つまり、“姿勢の防災教育”は、これまで教えてきた内容を、“恵み”と“災い”という自然の持つ二つの側面として伝え、そのような“自然と向き合う正しい姿勢”を持つことを促すものだといえます。

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4.一生涯つかえる災害から生き抜く力を身につける

4-1 学校管理下における避難方法だけでは不十分

 これまで防災教育として学校現場で実践されてきた内容を振り返ると、その多くは、避難訓練に代表されるように、“学校内に児童生徒がいるときに災害が発生した場合の対応”を教えることだったのではないでしょうか。

 児童生徒が学校にいるときの避難方法を身につけることは、もちろん必要です。これについては、学校運営計画の一つである“避難計画”をしっかり検討し、それを児童生徒に定着させる必要があります。

 しかし、児童生徒が学校にいる時間帯は限定的です。休日、長期休業などを考慮すると、児童生徒が学校にいる時間帯は1年間のうちの約2にすぎず、その他の時間は自宅などの学校外にいることになります。また、災害は小中学校卒業後に発生するかもしれません。長い一生の中で、いつ、どこで、どのような災害に遭遇するかわからないのです。

 そのため、防災教育を実践する際には、学校管理下における避難方法を教えるだけでは児童生徒の命を守るために不十分であることを念頭におき、“生涯にわたって、災害から自らの命を守ることができるようにする”ための知恵を身につけさせることが求められます。

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4-2 助けられる側から助ける側

 小学校に入学したばかりの児童は、いざというときには教職員の皆さんによって助けてもらう側の立場にあります。そのため、助けられる側として求められる対応を学ぶ必要があります。しかし、小学校高学年や中学生になれば、自分の身を自分で守ることは当然できるようにならなければなりません。そして自分のことだけでなく、他者の支援などを行うことで体力もついてきます。小中学校卒業後も含めた児童生徒の生涯を考えると、“助けられる側”でいる時間よりも、“助ける側”でいる時間の方が断然長いのです。

 “災害から生き抜く力”には、自分の命だけでなく、他者の命を守る力を身につけ、“助けられる側”から“助ける側”になるための心構えと姿勢を身につけることも求められます。そのため、新潟県防災教育プログラムは、学年進行に応じて、理解することのできるレベルと身につけなければならないことを考慮して、児童生徒が学習する内容を精査し、積み上げ式のカリキュラムとなっています。

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5.20年かけて、災害に強い地域文化をつくる

5-1 防災教育は、継続することがもっとも重要

 防災教育は、他の科目と異なり、教科として授業計画に組み込まれていません。そのため、授業を実践する場合には、総合的な学習の時間や学級活動などの時間を割いていただく必要があります。防災教育のために、どの程度の時間を確保して、どのような内容の授業を行うのかは、現場の教職員の皆さんの裁量にかかっています。

 ここで、防災教育を実践する上で最も重要なことは、“継続”することです。もちろん、授業実践を繰り返して、授業内容の改善を図っていただくことは重要ですし、ぜひその努力をしていただきたいと考えています。しかし、それよりも重要なことは、一時のブームで終わることなく、新潟県の教職員全員が、毎年必ず何らかの形で防災教育に関する実践を継続することです。

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5-2 防災教育の継続は、災害に強い地域の文化をつくるプロジェクト

 子どもは自分の親やまわりの大人たちを見て育ちます。そのため、親やまわりの大人たちが防災について何ら関心を示さなければ、子どもたちも関心を持ちません。逆を言えば、親や大人たちが“災害から生き抜く力”を持っていれば、そのもとで育つ子どもたちは、同様に“災害から生き抜く力”を持った子どもになります。

 10年経つと、中学生は大人になります。さらにもう10年経つと、彼らは親になります。つまり、防災教育を10年間継続すると、地域の中に“災害から生き抜く力”を身につけた若者を輩出することになります。さらにもう10年継続すると、彼らが親となり、“災害から生き抜く力”を備えた家庭が出来上がり、その環境ものとで次世代の子どもたちが育まれます。

 このように防災教育を継続することは、世代間の知恵の継承をもたらし、いずれ“災害文化”として定着していくことになります。新潟県防災教育プログラムは、災害に強い県民・地域・文化(防災立県の人的基盤)を作ることを目指します。

第2部 防災教育、実践の留意点

 防災教育の効果は、現場の教職員の皆さんの努力にかかっています。そのため、まずは教職員の皆さんの“自然と向き合う姿勢”が求められます。その一方で、防災教育の目的を達成するためには、防災教育の枠組みだけでは限界があります。既存の教科や学校行事なども活用し、教育活動全体を通じて“生き抜く力”を育むことが求められます。また、防災教育の実施効果を高いものとするためには地域や家庭との連携も不可欠です。

 ここでは、児童生徒の“生き抜く力”を育むために、どのような点に注意して防災教育を実践していくべきなのかを簡単に説明します。

6.教職員自身の自然と向き合う姿勢が問われる

6-1 求められる教える側の姿勢

 前述したように、新潟県防災教育プログラムのねらいは、“姿勢の防災教育”の実践を通じて、児童生徒に“自然と向き合う正しい姿勢”を持つことを促し、“災害から生き抜く力”を育むことです。知識を伝える教育ではなく、姿勢を伝える教育を実践することが求められます。

 そのため、まずは教える側の現場の教職員の皆さんに、“自然と向き合う正しい姿勢”を身につけていただく必要があります。教える側に正しい姿勢がなければ、児童生徒には決して伝わりません。逆に言うと、たとえ言葉が整わず、まとまりのない授業をしてしまったとしても、教える側に熱意と正しい姿勢があれば、それは児童生徒にきちんと伝わります。

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6-2 児童生徒に伝えるために創意工夫する姿勢こそが防災教育の本質

 児童生徒は、教える側の「自分たちのことを大切に思ってくれている」、「災害などで死んではいけない」という熱意を感じ取ってくれます。そして、教える側に本当にこのような熱意があるのであれば、児童生徒にうまく伝えるために、授業内容などを創意工夫することでしょう。

 つまり、防災教育を実践する際には、教える側は正しい姿勢を身につけること、そして、その姿勢のもとで、「なんとしてでも児童生徒に生き抜く力を身につけさせるんだ」と創意工夫する姿勢こそが求められています。この点を十分に踏まえて、授業を実践する前に、まずは自分の姿勢を見つめ直してください。

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7.災害を自分事として主体的にとらえる授業を実践する

7-1 実行力を高める

 防災教育を通じて、災害に関する“知識”や自然と向かい合う“姿勢”を身につけたとしても、いざという時に適切に対応してくれなければ、教育の意味はありません。そのため、防災教育を実践する際には、“いざというときの避難”や“生涯にわたり災害に備える”という行動をとる“実行力”を高めることが求められます。

 そのためには、授業実践等を通じて、児童生徒の“学び”“気づき”を促すことで“危機意識”の形成を促し、“判断”する力をつけるとともに、“行動”するための危機回避能力を高めることが求められます。そして、そのような能力を養うためには、災害に対して“現実感”や“わがこととして捉える”ことが求められます。

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7-2 現実感”、“わがこと感を高める

 東日本大震災の際の避難行動を見てもわかるように、近い将来、地震津波の発生が危惧されていた津波常襲地域にあれだけ大きな揺れを伴う地震が発生しても、多くの方は迅速な避難行動をとることができませんでした。日頃から地震津波に備え、避難しようと考えていた方であっても、いざ、そのときに適切に避難することは困難であったようです。

 そのように困難な行動をとることを促すためには、平常時から、災害が発生した状況をどれだけ現実感をもって意識し、それに備えているのか?”が重要になります。「いつか大きな災害が発生するかもしれない」、「いざというときにはちゃんと避難する」という当たり前の知識や心構えではなく、災害の発生を“わがこと感”を持って認識することが必要となります。

 授業実践等において、“実行力”を高めるために、災害に対する“現実感”や“わがこと感”を持たせる方法としては、児童生徒に具体的な状況を想定させて、自らの対応を考えることを促す機会を設けることが求められます。例えば、身近で具体的な状況を提示し、「そのときどうするか?」といった発問によって、様々な状況下での対応を考えさせることが挙げられます。

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8.教育活動全体を通じて、防災教育の目的を達成する

8-1 防災教育の枠組みだけでは、目的達成に限界がある

 防災教育の目的は、防災教育の枠組みだけで達成することに限界があります。例えば、自然の二面性を児童生徒に教える場合、“災い”の側面に関しては、授業計画案も用意されているため、防災教育の枠組みの中で実践可能ですが、“恵み”の側面まで全てカバーしようとすると、防災のための授業時間をそれだけ余分に確保しなければならなくなります。その一方で、“恵み”の側面については、“地域の良さ”、“自然の豊かさ、大切さ”などを学ぶ教育として、既存の他の教科で実施されているはずです。

 “恵み”の側面を教える既存の授業実践においても“災い”の側面に触れる“災い”の側面を教える防災教育の実践においても“恵み”の側面に触れる、というように相互で補完しあうことで、防災教育の目的の達成を目指すことが求められます。

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8-2 既存教科など教育活動全体を活用して、生き抜く力を育む

 避難訓練を防災教育の一環として位置づけることは想像しやすいと思います。しかし、それだけでなく、既存教科も防災教育に関連付けることは可能です。例えば理科の教育内容の中には、自然現象としての災害に関する内容が含まれていたり、社会科の教育内容の中には、暮らしを守る社会の仕組みとしての防災対策に関する内容が含まれていたりします。

 このような既存教科の教育内容の中で防災に関連する内容を教える際には、創意工夫することで防災教育の目的を達成することに貢献する授業を行うことができるはずです。授業だけでなく、修学旅行やまち探検、授業参観など、教育活動全体を通じて、児童生徒の“災害から生き抜く力”を育むことが求められます。

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9.家庭や地域と連携した防災活動を取り入れる

9-1 子どもは大人を見て育つ

 学校で学んだことと家庭での行動が乖離していては、防災教育の効果は半減してしまいます。

例えば、交通安全教育はその最たる例です。学校では「手を挙げて横断歩道を渡る」ように指導されますが、学校から一歩外に出れば、自分の家族を含め、多くの大人はそのようなことを実施していません。このような状況は、児童生徒が学校で教わったことを実践することを阻害する要因になります。

 子どもは、親やまわりの大人を見て育ちます。学校でいくら“自然と向き合う正しい姿勢”を教えても、家に帰って家族がそれを理解していなければ、その姿勢が児童生徒に定着することはありません。つまり、いかに学校で優れた防災教育を実施したとしても、家庭、地域との連携がなければ、その効果は大きなものとならないでしょう。私たち大人の何気ない態度が、子どもたちの命を危険にさらしていることを、私たち大人は自覚するべきでしょう。

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9-2 家庭、地域を巻き込み、児童生徒を取り巻く環境を変えていく

 そのため、防災教育の実践にあたっては、家庭や地域との連携を図り、地域全体で子どもたちの生き抜く力を育む環境を整えることが必要不可欠です。

 地域と連携する具体的な方法としては、例えば、地域住民と一緒に避難訓練を実施したり、地域のことを教えてもらうゲストティーチャーに協力を依頼したりすることが挙げられます。家庭と連携する方法としては、授業参観で防災に関する授業を行ったり、まち歩きに同行してもらったり、各家庭の避難方法や災害への備えの把握を宿題にしたりすることが挙げられます。また、新潟県内には、防災に関する体験学習を行う施設や出前講話などを行ってくれる組織、人材も揃っています。これらを有効活用し、学校と家庭、地域が連携した実践も検討してみてください。

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10.学校の特性を踏まえて、カリキュラムを自校化する

10-1 各校の特性に応じて、防災教育カリキュラムを自校化

 新潟県防災教育プログラムは、学習指導案の一つにすぎません。教職員の皆さんには、これを参考にして授業のねらいを達成できる授業案を創意工夫してもらうことが求められます。その際には、各校の特徴、地域特性を踏まえた授業案とすることが望ましいでしょう。そして、授業だけでなく、様々な学校行事などを考慮して、教育活動全体を通じた各校独自の防災教育カリキュラムを作り上げていくことが求められます。防災教育に関する実践を繰り返すことで、各校で新潟県防災教育プログラムの自校化をすすめてください。

プログラムを自校化する具体的な方法としては、例えば、授業を実施した際の資料を一括管理して、校内に資料室を設けておくことが挙げられます。これにより、授業で使用する資料の準備の手間を簡略化でき、学年進行に応じた連続的な教育を行うことが可能になります。また、避難訓練や校外研修など、各学校の様々な教育活動と防災教育プログラムのねらいとの関連を整理し、授業実践を行う時間を確保することなども挙げられます。

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10-2 個人に依存せず、学校に定着・継続する仕組みをつくる

 防災教育カリキュラムを自校化することの意義は二つあります。

 一つは、特定の教員に依存した防災教育の実践とならないようにする効果です。防災教育を実践する場合、多くの学校では担当教職員を置き、その担当教職員を中心にして全ての防災活動が行われたりします。担当となった教職員が意欲的に取り組んでくれれば、そのようなやり方でも一定期間はうまくいきます。しかし教職員には異動があります。担当教職員の異動があった場合に、このやり方ではうまくいかないことが出てくる可能性があります。

 もう一点は、学校の特性に応じたカリキュラムを定着させ、それを継続する効果です。自校化したカリキュラムがあれば、異動してきた教職員もそれまでの実践を踏まえた教育を行うことはできます。教職員が変わっても、教育内容が引き継がれていることは、9年間の積み上げ式のカリキュラムを実践する上でも重要になります。また、自校化されたカリキュラムがあることで、継続的に授業実践を行うこともできます。

 つまり、カリキュラムを自校化することは、特定個人に依存せずに、各校で継続した防災教育の実践を行うことのできる仕組みをつくることにつながります。


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