これまでの活動履歴
豪雨時の学校対応から考える平時の備え・防災教育
上越市教育委員会
上越市の全小中学校の防災・安全教育担当職員対象の防災教育に関する教職員研修を実施しました。
上越市教育委員会からの依頼を受けて、本機構がこの研修会に携わるのは今年度で5年目です。
今回は頻発する豪雨災害に注目し、豪雨時を想定した学校対応ワークを通して、平時の関係者との連携や防災教育の必要性を感じていただくことを目的としてプログラムを組み立てました。
全体の流れとしては下記の通りです。
①オリエンテーション(20分)
②豪雨時の学校対応ワーク(40分)
③上越市立飯小学校事例紹介(10分)
④児童・生徒向け防災クロスロード体験(25分)
⑤振り返り・まとめ(15分)
目次
- 1. 豪雨時の学校対応ワーク
- 2. 上越市立飯小学校事例紹介
- 3. 参加者の声
豪雨時の学校対応ワーク
豪雨時の学校対応ワークでは、時間経過によって課題が変化していく様子について体験していただきました。
下記はその課題の一例です。
・下校・待機の判断基準は何か?誰が何を調べるのか?
・住民が自主的に避難してきた場合の対応は?
・保護者が自主的に迎えに来た場合の対応は?
・町内単位で一斉に避難者が来た場合の対応は?
・家族を心配して帰宅したい職員の要望にどう対応するか?
ワーク後に、豪雨時の情報収集の方法など解説を加えました。
ワークのまとめとして、災害時に起こりうる課題を共有し、信頼・協力できる関係性を職員・児童生徒・保護者・地域住民などの関係者と平時に気付く必要性についてお話ししました。
上越市立飯小学校事例紹介
その後、上越市立飯小学校小島教頭先生より、実践事例を紹介頂きました。
飯小学校では、昨年度よりふるさと新潟防災教育推進事業学校実践の補助金を申請し、地域と連携した防災教育・防災体制の整備を行っています。
そのなかでも今年度実施した防災教育、教職員・地域住民・避難所担当職員と実施した避難所対応研修会の様子、引き渡し訓練時の保護者向けミニ集会の様子を紹介頂きました。
参加者の声
実施後のアンケートより、参加された方の声の一部をご紹介します。
・正解のない問題に直面するのが災害なんだと改めて気付かされました。
・知識や技能ではなく、主体性を育むというねらいをお聞きし、非常に心動かされました。想定外のことを想定する想像力が問われたように思いました。
・親子活動などで防災をテーマに学習することも可能なことが分かりました。
・来年度に向けて、自校の計画を見直す必要がある。飯小学校の事例紹介は大変参考になった。
・防災を題材にして、自ら考え行動する教育ができる。自分事としてとらえさせる学習ができることが分かった。
・防災について自分で考える場面が少ないので、良い機会であった。学校現場で行かせる部分を生かしていきたいと思います。
・防災教育への捉え方が変わった。
・次年度の受講対象者を、今まで研修を受けていない教員にしてはどうか。防災について知る職員が増えると、学校運営に生かしやすいのではないかと思いました。
・命を守るために、日常的に考えておくこと、話題にしていくこと、準備していくことが大切なのだと感じました。
防災教育をテーマとした上越市の教職員研修では5年間関わらせてもらいました。
研修会の企画・進行を担うなかで、私も試行錯誤を繰り返し、参加者の皆さまの反応から大変学ぶことが多く貴重な機会となりました。
それぞれの立場でできることをできるところから…そんなきっかけとなれたら幸いです。
この記事を書いた人
松井 千明
防災教育でお悩みの先生の声を聴き、一緒に考え、背中を押す黒子を目指し日々勉強中です。普段は中越地震のメモリアル施設である「長岡震災アーカイブセンターきおくみらい」にいます。