これまでの活動履歴

避難所開設初期の課題について職員と関係者で考える

上越市立飯小学校

上越市立飯小学校で実施された教職員と地域住民、避難所開設職員と連携した研修会の様子をご紹介します。

飯小学校では、昨年度よりふるさと新潟防災教育推進事業学校実践の補助金を申請し、地域と連携した防災教育・防災体制の整備を行っており、その支援として昨年度と今年度2か年にわたって、中越防災安全推進機構では、資料提供や講座の実施を行ってきました。

校長先生の危機感から

はじめに依頼をいただいたとき、「学校は水害・土砂災害の被害を受けにくい土地ではあるものの、学校の真下に活断層があり、地震災害が発生した際の対応について危機感を覚えている」というお話を校長先生より伺いました。

児童への防災教育と並行して、地域住民・保護者・関係者との連携が必要だと確認し、その目的に向けて、計画を一緒に考えました。

昨年度は、夏休み期間中に、教職員と地域の代表者が一堂に会し、避難所運営ゲームを通して、災害発生時の学校と地域の連携の必要性について確認しました。

その後、9月の避難訓練において、地域住民の方から避難訓練の様子を参観いただき、その後、住民の方と一緒に防災講座を実施しました。

今年度はさらに一歩踏み込んで、教職員と地域の代表者、学校時間外に災害が発生した際の避難所設置担当職員も参加した研修会を実施しました。

今回は、関係者の意識の醸成をはかるとともに、検討した結果を形に残すことも目標としました。

災害発生直後、学校はどうなるのか

研修会のはじめに、校長先生からこれまで学校で取り組んできたことと、今年度も昨年度に引き続き、学校と地域の連携が大切であるという意識を共通に持つ機会としたいとのお話がありました。

その後、導入として、災害発災直後、学校はどうなるのか、なぜ避難所運営が必要なのかの部分について松井がミニレクチャーを行いました。

基礎的な部分を確認したところで、「上越市で大きな地震が発生し、飯小学校でも避難所を開設することになった。その時に発生する課題は何か?」についてミニワークとして考えてもらいました。

ここでは、課題の解決までは考えず、「あんなことに困る」「こんなことが起きそう」とテンポよく課題を羅列してもらいました。

出てきた課題はこちら(教頭先生に板書していただきました)

安全確認をどうするか、役割分担はどうするか、指揮する人が来れなかった場合誰が指揮をとるのか…

短時間で多くの課題が見つかりました。

テーマごとに解決方法を考える

避難所開設時の役割分担について、まずは上越市のマニュアルではどのような分担が想定されるか確認しました。

学校の状況や地域の特性を考慮したうえで、マニュアルではある程度の分担が示されていましたが、それと同時に「災害によって各担当者がすぐに参集できるとは限らない」「そのため、担当外の業務についても確認しておく必要がある」ということも強調して示されていました。

その後、出てきた課題をテーマごとにグループに分かれ、解決方法を議論しました。

検討したテーマは下記の5つです。

①情報

②要配慮者

③物資

④レイアウト

⑤ライフライン

それぞれのテーマについて、教職員・住民・関係者が混合したグループで約40分ほど議論をしました。どのグループも議論が白熱し、あっという間に時間が過ぎていきました…。

議論したことを形にする

班で話合った内容は、模造紙にまとめて全体に共有しました。

議論の結果を学校で再検討し、清書して形に残していくということもその場でアナウンスがありました。

研修会の目的の一つとして、参加者の意識の醸成が挙げられますが、今回の研修会では、そこにとどまらずに、具体的に学校運営に反映させる取り組みだったと感じました。

この記事を書いた人

千明松井

松井 千明

防災教育でお悩みの先生の声を聴き、一緒に考え、背中を押す黒子を目指し日々勉強中です。普段は中越地震のメモリアル施設である「長岡震災アーカイブセンターきおくみらい」にいます。

  • twitterシェアボタン
  • google+シェアボタン