これまでの活動履歴

さすけなぶるワークショップ

新潟市立白南中学校

新潟市立白南中学校の全校生徒を対象にさすけなぶるワークショップのファシリテーター補助として参加してきました。

さすけなぶるとは

「さすけなぶる」は、東日本大震災・ふくしまの教訓を避難所運営で実際に起きた問題を解決していきながら学ぶワークショップ型防災教育ツールです。

※さすけなぶる公式サイト

さすけなぶる

この「さすけなぶる」を実施には、さすけなぶるファシリテーター養成講座を受講し、検定に合格した認定ファシリテーターが必要です。昨年度無事合格したため、さすけなぶるを生み出された「さすけなぶる研究会」よりお声がけいただき、おそらく県内初?の中学生向けさすけなぶる講座に参加してきました。

東日本大震災後、福島の大規模避難所で起きた事例から…

さすけなぶるは、東日本大震災後に福島県郡山市に設置された大規模な避難所での事例をもとに作られています。

避難所をテーマにしたワークショップでは、静岡県で開発された「HUG(ハグ・避難所運営ゲーム)」が有名です。HUGは発災直後、避難所開設初期の避難者が大量に押し寄せる時期を想定しているのに対し、さすけなぶるは、発災から数週間、初期の混乱は落ち着いたものの、避難所内で体調を崩す人が増え始める時期を想定しています。

白南中学校のみなさんは既にHUGを体験済みだったため、同じ避難所をテーマとしたワークショップですが、時期による課題の違いについても感じながら、取組んでもらいました。

避難所開設中期の課題とは

避難所が開設された初期は、状況も混乱しており、はじめは皆で何とか乗り切ろう!という雰囲気だった避難所も、発災から数週間後の中期になると、避難者は精神的・肉体的にもつらく、なかには災害関連死など命の危険がおよぶ状況にもなってきます。

まずは、被災後の状況を説明した後に、例題として下記の「新聞紙が足りない」ケースについて考えてもらいました。

・避難所には、被災者の人数以上に新聞が届けられていました。

・しかし、毎日その新聞が全ての希望する人に行き渡らなくて困っていました。

・調べてみると、何人かの人たちがたくさんの新聞を持っていってしまうことがわかりました。

・そのうちに新聞を巡って、けが人が出るなどトラブルが多数発生しました。

この事態にどう対応するか?なぜその対応をするのか、個人で考え、班で話合いをしました。

避難所運営の大切なキー

例題についての解説はここでは割愛しますが、このように実際に福島の避難所で起こった事例をもとに、「絶対的な正解のない問題」を考えてもらいます。

対応方法を考える時に、さすけなぶるでは、それぞれの頭文字をとった5つのキーを参考にします。

※以下さすけなぶる公式ホームページより引用※

忘れてはいけない大切な5 つのキー。
避難所では、「全体」を見ることも大切ですが、「個」を大切にしなければなりません。
個々の問題を、この5つのキーをもとに解決していってください。
さりげなく 被災者の声に耳を傾け、生活環境の改善を進めよう。
(声には「大きな声」と「小さな声」があることを忘れずに)
すばやく 被災者の生活(暮らし)実態や課題をしっかり把握しよう。
(時間経過によるニーズ変化があることを忘れずに)
けむたがらずに 被災者同士、被災者と支援者等が交流できる場をつくろう。
(主体は被災者であることを忘れずに)
ないものねだりはやめて 地域の専門機関や団体等のネットワークを活用し、課題解決を進めよう。
(「できない」ではなく、「どうすればできるか」の視点を!)
ふる(ぶる)さとのような 被災者の参画による自治的な組織をつくろう。
(避難生活は、生活再建の第一歩であること忘れずに)

※引用終わり※

人によって課題への考え方は違います。班の話し合いでは、個人で出た意見の「いいとこどり」をしてさらに良い対応策にまとめていました。

人の「いのち」と「尊厳」を守る

さすけなぶるのまとめでは、避難所運営で大切な考え方について解説をします。

避難所に集まっているのはかわいそうな人ではなく、それぞれ尊重されるべき「人」であるということ。

人の「いのち」と「尊厳」を守り、人の交流と自治を促し、その後のくらしを立て直していくためにどのような働きかけが必要か…。

災害時に限った話ではなく、人として、人生を送るうえで大切な視点を学ぶことができるワークショップです。

白南中の皆さま、さすけなぶる研究会の皆さま、ありがとうございました。

この記事を書いた人

千明松井

松井 千明

防災教育でお悩みの先生の声を聴き、一緒に考え、背中を押す黒子を目指し日々勉強中です。普段は中越地震のメモリアル施設である「長岡震災アーカイブセンターきおくみらい」にいます。

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