これまでの活動履歴
避難所での困りごとの解決を考えるワーク
長岡市立東中学校3年生防災コース
前回の長岡市立東中学校3年生の総合的な学習の時間における防災コースの学びの続きをご紹介します。
前回は、災害直後の避難所を想定し、そこで起きる様々な課題についてどう対応するか考え、避難所を模擬体験するゲームに取組みました。
そこで気づいた避難所での困りごとについて班で5つに絞り、今度は、生徒だけではなく地域の方も交えてどうしたら解決できるかを話し合いました。
前回の振り返りと自己紹介を経て、さっそくどんな解決方法があるか意見交換をしました。
解決方法は次の3つの視点で考えました。
①学校の設備・部屋・物を使って解決できそうなこと
②災害時に自分ができそうなこと
③災害前に各自で準備が必要なこと
話合いの記録は下記の通りです。(★印は班で定めた困りごと)
★アレルギーを持っている人が食べ物に困る
➡1週間分の食料を各自で備蓄しておく。
配給されるものにアレルギー成分を表示して確認を取る。
食料を配る前にアレルギーがあるか確認する。
備蓄品の中から除去食を見つけ、アレルギーの人に優先的に配る。
★体の不自由な人が生活スペースに困る
➡トイレなどの場所に困っている人がいたら付き添って教える。
通路の幅を広くしたり、小さい子が走り回るようなところから遠いところに居てもらう。
車イスの回転スペースをあらかじめ用意するなど長期的に生活する前提でスペース分けをする。
★けが人や障がい者や高齢者の方が生活に困る
➡避難した人の中で医療関係者を探す。
保健室や和室を活用する。
同じ災害に遭ったのだから、やさしい気持ちで常に要配慮者に目を向ける。
話を聞いて心のケアをする。
話合い終了後、感想を一言で付箋にまとめてもらいました。一部を紹介します。
(生徒から)
・自分達だけでは思い浮かばないことや、実際の体験談が聞けたのでとても良い時間でした。
・今日話し合ってみて、学校の設備にも限界があるとわかりました。自分ができることはしっかり自分で備えたいと思いました。
・様々な年代の方と話すことでいろんな考えや見方が生まれたので参考になった。
・普段あまり話さない地域の方と意見を共有できたり、他のみんなともとてもいい取組みができてよかった。
(大人から)
・当時、赤ちゃんだった子どもたちからこんなにたくさんの意見や考えを聞けて感動しました。
・東中の設備におどろきました。生徒さんのやさしい気持ちがわかりました。
・経験のない皆さんがすばらしい意見を出されて感動しました。
・一人では思いつかないようなことも、みんなで意見を出し合って考えると良いことがたくさんある。とても良い経験でした。
ワークの様子を見ていて、地域の方の生徒の関わり方が大変素晴らしく、乾燥からもわかる通り、相互に学び合う新鮮な経験となったようです。
あとで担当の先生から伺ったところ、地域の方へ参加依頼をする際に、ねらいをはっきりと共有したとのことでした。
◎知識を教える授業ではなく、考える授業である。
◎生徒は生活経験が少ないため、被災体験だけを話すのではなく、高齢者の困り感など中学生にない視点でのヒントを与えてほしい。
「なにをやるのか」のみを伝えるのではなく、「なぜやるのか」「どこをめざしているのか」まで伝える。
協力者に依頼をする際の声掛けで大事なポイントだなと私も改めて勉強になりました。東中学校の皆さん、地域の皆さん、ありがとうございました。
この記事を書いた人
松井 千明
防災教育でお悩みの先生の声を聴き、一緒に考え、背中を押す黒子を目指し日々勉強中です。普段は中越地震のメモリアル施設である「長岡震災アーカイブセンターきおくみらい」にいます。