これまでの活動履歴

全校一斉津波防災授業

柏崎市立東中学校

柏崎市立東中学校で、全校一斉の津波災害をテーマとした防災授業が行われました。

この日の朝は、福島県沖でM7.5の地震があり、陸上に浸水はしなかったものの、海上で津波が発生して川を遡上するなど、津波防災を考えるには非常にタイムリーな出来事もありました。
また、この授業に至るまでに、先生方へ研修を行ない、学年部に分かれて授業案を熱心に考えていただきました。
生徒に自らの命を守ることに主体的な姿勢を育むため、先生方はいろんな工夫を凝らしていました。

まず「津波」を知ること

まず、導入では全校生徒276人が体育館に集まり、新潟県防災教育プログラム津波災害編のDVDに収録されている映像【資料100・101・102・103】を見て、津波の威力を知り、置かれた状況の中で最も安全な場所に避難することの大切さを知ってもらいました。

みなさん、朝に東北で起こった津波と合わせて、リアリティーを感じながら見ていたように思います。

様々な意見で気付く危険箇所

その後、各学級に分かれて、担任の先生が授業者となり、津波からの逃げ方を考える授業を行ないました。

1年生の皆さんが行なう、浜辺を歩くイベント「チャレンジウォーク」のルートを思い出しながら、大きい地図に津波が来たらどのルートが危険になりそうかをグループで考えて、大きな地図に危険箇所を書き込んで発表をしてもらいます。

自分たちで考えさせて話し合うと、「海岸沿いは、やはり危ないよね」とか「新潟地震の映像では川を逆流していたから、川沿いも危ないんじゃないかな」、「地下道は?危ないよね?」などなど、いろんなことに気づいていきます。

全員で危険な箇所を確認したら、今度はチャレンジウォークの最中に「みなとまち海浜公園」にいた場合、津波が起こったらどこに逃げれば良いのか、避難経路とその所要時間を検討しました。

 

津波避難三原則

その後、自分たちの考えた避難ルートが柏崎市防災ガイドブックに掲載されているハザードマップ上で、要警戒区域である所なのか、比較的安全なところなのかを検証しました。

場合によっては、17-18分で津波が到達する箇所もあり、時間内に警戒区域外の外に避難することが望まれます。
とはいえ、想定を超えて浸水する場合もあるため、「絶対安全」という所はありません。
ですが、できるだけその際に最善を尽くすためにも、予め比較的安全な所を考えておく必要があるのです。

その後、新潟県防災教育プログラムの監修にも携わっていただいた群馬大学の片田先生が提唱する津波三原則について確認していきます。
生徒には、配布されたワークシートに用語を穴埋めしてもらいました。

問題

  • (    )にとらわれるな
  • (    )をつくせ
  • (    )避難者たれ

答えは次の通りです。

答え

  • 「想定」にとらわれるな
  • 「最善」をつくせ
  • 「率先」避難者たれ

先生方は、東日本大震災のエピソードを交えて、わかりやすく解説していきます。
3.11の際、当初、気象庁の予想した津波の高さは3m。
しかし実際には15mを超えた巨大津波になり、ハザードマップで警戒区域外になっているところも結果的には浸水してしまいました。

また、相手は自然なので想定外も起こり得ることから、決められた避難場所に固執するのではなく、できるかぎり一番安全な場所を探してとにかくひたすら逃げること、そして自分が真っ先に逃げることで、周りにいる人も同じように逃げることができるので、率先して逃げることが大切であることを、伝えていました。

家族の中心になって話し合いを

最後は、河北新報社のみんなのひなんルールを用いて、家族とも集合場所や避難場所、連絡手段について話し合っておくことをお話ししました。
「ぜひ家族で避難ルールを決める際にも、中学生には中心となって話を進めてもらい、家族の中でも率先して物事を進める道しるべになってほしい」という先生の言葉が印象的でした。

先生方が本気で考えられた授業だからこそ、子どもたちの心にもその気持ちが伝わったと思います。

この記事を書いた人

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公益社団法人 中越防災安全推進機構

公益社団法人 中越防災安全推進機構は、中越地震に関する記録や研究活動を推進・支援するとともに、研究成果を安心・安全な地域づくりや防災安全産業の振興に役立てようと日々活動をしています。学校や地域での継続した防災教育のサポートを行っておりますので、防災教育にお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください!

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