豪雨時の学校対応から考える平時の備え・防災教育

上越市の全小中学校の防災・安全教育担当職員対象の防災教育に関する教職員研修を実施しました。
上越市教育委員会からの依頼を受けて、本機構がこの研修会に携わるのは今年度で5年目です。

今回は頻発する豪雨災害に注目し、豪雨時を想定した学校対応ワークを通して、平時の関係者との連携や防災教育の必要性を感じていただくことを目的としてプログラムを組み立てました。

全体の流れとしては下記の通りです。

①オリエンテーション(20分)

②豪雨時の学校対応ワーク(40分)

③上越市立飯小学校事例紹介(10分)

④児童・生徒向け防災クロスロード体験(25分)

⑤振り返り・まとめ(15分)

校内の展示で意識啓発

新潟市立山潟中学校の地域教育コーディネーターである後藤素子様にお声がけいただき、校内の展示について見学させてもらいました。

今年6月の山潟県沖地震で、新潟市内でも大きな揺れを観測し、沿岸部では津波注意報も発令されました。市内のいくつかの小中学校等指定避難場所では、地震が発生した夜間に住民が避難してくるという状況も発生しました。

学校で防災教育に取組む際の大きな課題としてよく挙げられるのは「時数の確保」です。

その課題の解決方法の一例として、授業時数を確保できなくても、じわじわと児童・生徒・教職員・学校に関わる人への意識啓発として校内の展示を実施する具体例をお見せいただきました。

展示の構成は、

・夏に一部の生徒が参加した中央区ハイパージュニアレスキューの様子の紹介

・新潟地震のパネル展示

・県内で発生した災害を中心とした防災に関する書籍

・山形県沖地震の新聞記事と、被災地の学校で4か月ぶりに給食が再開したとの情報

・中央区のハザードマップ冊子

・コメントコーナー

です。

 

展示を拝見して感じたのは、「災害はひとごとじゃないよ」「新潟でもいつ起きるかわからないよ」「自分の生活に照らし合わせて考えよう」という促しです。

度の展示にも上記のようなことを促すためのコメントが添えられており、後藤さんの想いが感じられました。

また、コメントコーナーには、教職員の先生からのコメントがまず貼りだされていました。

生徒に日々接する教職員のみなさんが、災害・防災に対してどんなことを感じているかを簡単なコメント形式で示すことで、学校全体の意識の醸成にもつながるのではないかと感じました。

「防災教育に取組もう!」と大きく構えるのではなく、できるところから少しずつ取り組んでみるという好事例の紹介でした。

引渡し訓練時の保護者向けミニ集会

上越市立飯小学校で行われた引渡し訓練時の保護者向けミニ集会の様子をご紹介します。

飯小学校では、昨年度よりふるさと新潟防災教育推進事業学校実践の補助金を申請し、地域と連携した防災教育・防災体制の整備を行っており、その支援として昨年度と今年度2か年にわたって、中越防災安全推進機構では、資料提供や講座の実施を行ってきました。

学校と地域の役員・市の避難所開設担当職員・隣接した保育園の職員とが集まって災害対応の研修会を行うなど取り組みを進めてきた結果、災害直後は児童の安全確保等で教職員は手一杯となる状況が見えてきました。

災害時の対応について、一部の人だけが考えるのではなく、今回は広く保護者に対して災害時の学校の状況を共有する機会を設けました。